講座F 『赤ちゃんの発達と親の関わり』 講師 助産院エ・ク・ボ 高室 典子さん

T.前講座での質問/再確認事項

夜間の授乳と授乳間隔/母乳間隔について
・新生児のミルクは、1回に100cc位、 3時間空けないと消化出来ない。
・母乳は1回に10〜20cc位しか飲めず、また腹持ちも悪いので、常に飲んでいるような状態となる。
・生後1ヶ月くらいで1時間間隔は普通。
・赤ちゃんが飲んでいる時に乳首を引っ張ったり、頭を動かしたり、足をばたつかせたりして力を入れたように飲んでいる時は、おっぱいの流れが悪くなっていると考えられる。おっぱいの流れが悪いと、お腹が一杯にならないうちに疲れて寝てしまうので、少しの時間で目覚め泣いたりする。

1ヵ月検診までの体重増加/ミルクの追加目安
・母乳の1日量の目安=体重1kg当たり150cc
 例)3000グラムの赤ちゃんで、150cc×3=450cc
・1ヵ月の体重増加は600グラムでよしとする

母乳と服薬
・抗がん剤、ホルモン剤、強い鎮痛剤は良くないが、風邪をひいた時の抗生剤などは大丈夫。

母乳と母子分離
・基本的には、1年間は赤ちゃんと離れなくてもよい方法を考えた方がよい。
・どうしても離れる場合は、離れている時間をできるだけ少なくするように(2時間くらい)考慮する。
・仕事などで一定時間を離れる時は、搾乳器を持つなどして、張ってきた母乳をしぼるようにする。




U.赤ちゃんの発達

赤ちゃんの能力/無様式間隔
・無様式間隔(視覚、聴覚、触覚、などが共通して伝わる感覚)を持つ
見る ・生まれて直ぐに、30センチ位は見える〜おっぱいを飲ませる時に、丁度お母さんの顔がある距離
・丸や赤色などはっきりした色を好む〜おっぱいや母の顔がわかる
触る ・触られただけで、お母さんかどうかがわかる
匂い ・お腹が空くと、母の匂いの方へ向く
・甘い、しょっぱい、酸っぱい、苦いはわかる
・甘いのが好き
聞く ・高い音が好き
・お母さんの声を通して、1年以内の記憶がよみがえる〜一番最初に覚えた感触

・意識能力
生後まもなくは、起きている>おっぱいを飲む>まどろんで入眠を、30分間隔で繰りかえす。
おとなしいけれど、きょろきょろ見ているような時は、学習能力が高いので、なでる、さする、声をかけることが大切。

・吸引反射
お腹がいっぱいでも、おっぱいを口に近づけると飲もうとする。
胎児は、22時から2時の時間帯はしっかり起きて活動している時間帯であり、生まれてからもその間隔が残っているので、徐々に外の世界のリズムに合わせ軌道修正する必要がある。朝は明るく、夜は暗くすることでリズムができる。


赤ちゃんの身体的特徴
・発達メモ
年月齢 移動運動 協応動作 仰臥位 腹臥位
1ヶ月 口に手を近づける 横をみる
2ヶ月 手を口に持っていく
足はまだ床の上についている
指しゃぶりをしている 前、中央をみる
3ヶ月 1.胸のところで合わせた手を見る
2.片方づつ、手を見る
肘で支える
4ヶ月 1.手に持っていたものを口へ持っていき、その後で見る
2.両手は腰にさわることができる
持ち上げた左右の足の裏が合う 片方の肘で支える
5ヶ月 ねがえり(右・左) 1.手に持ったものを見てからなめる
2.手は下腿(ひざから下)をさわることができる
遊泳運動
6ヶ月 自分でみたものに手を出してつかみ、それからなめる 手で反対側の足が持てる 手のひらで支える
7ヶ月 ずりばい(前・後)
ピボット(右・左)
手で足を持ち、口へ持っていく 足をなめることができる 片手をあげる
8ヶ月 腹ばい(回転・前進)
四つばいに近い姿勢
9ヶ月 四つばい
おすわり(自力)
10ヶ月 高ばいに近い姿勢
つかまり立ち
11ヶ月 高ばい
伝い歩き(右・左)
     (テーブル・壁)
12ヶ月 立ち上がり
1才1ヶ月 歩行(2、3歩)
1才3ヶ月 歩行(確立)
2才 階段交互に昇り降り
飛び降り
3才 片足立ち(5秒)
4才 ケンケン、その場とび
5才 スキップ、とび箱
6才 なわとび



V.赤ちゃんとのかかわり方

月齢に合わせた関わり方

・出来るだけスキンシップを多くする。
年月齢 抱き方の工夫・かかわり方
新生児 ・横抱きがよい
1ヶ月 ・寝ているばかりだと天井しか見えないでいや!>たて抱きにすることで部屋の様子が見える
・「腹ばい遊び」を取り入れることで、首の筋肉、腹筋、背筋がつく
  足をクロスさせてもできない時は、本人がまだ必要としていないか、背筋が発達していないか
  腹ばい遊びをこわがったり、いやがったりする子どもには、三半規管が未発達
  最初は、大人が寝て、腹の上に乗せて揺らすとよい
・夕方になり、クリック(たそがれ泣き)が現れたらお腹の調子が悪くて機嫌が悪くなることが多いので、お腹を押さえて外向きにする抱き方(コリック抱き・観音抱き)がよい。たて抱きにすると反り返る子どもにもお勧め
2ヶ月 ・自分の手で体重を支えられるようになるとよい
・おんぶして振り回すと三半規管が発達するが、抱っこベルトでは発達しない
・いっぱい触ってあげることで神経細胞が発達
・「ゆさぶられっこ症候群」は主軸を揺らすことで起こるので、主軸を揺らさないで揺らすように注意
3ヶ月
4ヶ月
5ヶ月 ねがえり(右・左)
6ヶ月
7ヶ月 ずりばい(前・後)
ピボット(右・左)
8ヶ月 腹ばい(回転・前進)
四つばいに近い姿勢
9ヶ月 四つばい
おすわり(自力)
10ヶ月 高ばいに近い姿勢
つかまり立ち
11ヶ月 高ばい
伝い歩き(右・左)
     (テーブル・壁)
12ヶ月 立ち上がり


1日5〜6回程度足を交差させ腹ばいにし、嫌がる子は、抱いて寝たまま、ごろん、ごろんしたりして慣らしていく。
ある程度、力がついてきたら足を持って少しゆらゆらさせてあげると筋力がついてくる。
(6ヶ月以前なら下にタオルなどを入れても・・・)
這い這いに以降の為のキック力をつける・・少しおさえてあげる。
蹴ると前に進むと言うことが分かると手を使うようになる。
這い這いは、みんな個性的である。
つかまり立ち
足の裏がきちんと地面と接着しているか、つま先立ちしている時は、足の裏のスキンシップを多くし、間隔を養っていく。
歩くようになったら、山道など起伏のあるところも歩く機会を持ちバランス感覚を養っていく。



赤ちゃんのいる環境

・歩行器
大きくなってから大腿骨が変形した例もあるので長い時間利用するのは避けたい。
どうしても、お母さんが仕事をする時はおんぶをしてみては・・

・ラック
寝せるのは自由な動きが出来ないのでお勧めできない。

・温度、湿度
大人よりも1枚少なめ、手、足は冷たくてもお腹が暖かければ大丈夫。
お布団をかけると紙おむつは熱くなり、寝入りばなは、汗をかくので注意をする。
まだ寝返りの出来ない時、暑かったりすると足で蹴って布団が顔にかかったりするので、軽い布団にしたり厚手のパジャマにしたりの配慮が必要である。

秋〜ベビーカーは、敷き布団を厚くすると暖かさが増す。
抱っこは靴下を2枚にしたり、オーバー靴を履かせると良い。


育児行動におけるポイントの対応

・股関節脱臼の原因にオムツが考えられる。
紙おむつは、体重(kg)で目安が表記されているが太ももの太さを目安とした方が良い。
また、テープはへその位置で止めるようにする。

・衣類の決め方
生後1ヶ月頃から、足が動きやすい衣服で、短肌着、スパッツなどが良く、ロンパースは余り必要でない。

・オムツかぶれ
新生児にはお尻ナップは必要でない。きれいに洗って、よく乾燥させる事が基本で、ドライヤーを利用しても。


赤ちゃんのスキンケア


・固形のベビーパウダーは保護幕を作るので、乾燥した後、使用すると良い。




W.支援する側の心構え

母親の自律を引き出す関わりを

信頼を得る関わり方を

自分の価値観を押し付けない

母親を育てるような関わりを


お母さんが自分で考えて答えを出せるかかわりをして欲しい。
産後のお母さんの心理は、子どもに返る。
色々な人に抱っこしてもらったり、甘えたりしながら立ち上がっていく心理である。
耳を傾けてよく話を聞く事が大切で、決して自分の価値観を押し付けない。


                                                        (報告:いけだきみえ)

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