第11講座 病児保育の心得とアレルギー(小児保健)  出村 守氏 

病児保育の基本的な心得と留意点
1.休養を十分に取らせる
2.本を読んだり話をしたりと室内遊びを中心に
3.食事や薬の時間に関して、親から正確な指示を受けておく
4.子どもの様子(機嫌)に注意し、必要に応じて検温する
5.手に負えないような症状に急変した場合は保護者に連絡し、支持を受ける
6.病気の知識はもちろん大切であるが、病児と寄り添うことも大切
  慌てず、うろたえず、ゆとりの心で!

病状とその対処

≪発熱≫
1.小児の正常体温(わきの下)は成人より高めである                 
乳児 36.3〜37.4度
幼児 36.5〜37.4度
学童 36.5〜37.3度
平熱より1度以上高ければ熱があると考えていい

2.なぜ熱が出るのか?有害か?
・発熱は生体防御反応のひとつで、確かに不快な症状を伴うが、一方では免疫力を高めている
・熱の高さと病気の重さは必ずしも一致せず、熱そのもので脳が侵されることはない

3.熱性痙攣(けいれん)
子どもは、生後6ヶ月から6歳頃まで熱が出た時に、ひきつけを起こすことがある
原因はまだわかっていないが、脳が発育する過程で、特に小脳の発達が少し遅れるため(小脳が抑制系として作用)起こすとも考えられている
また熱性痙攣は、熱の上がりかけ(37.8〜38度)で起こすことが多く、急に熱が高くなるのがひきつけの起こる原因とも言われている

ひきつけの脳に対する影響は、5分以上のひきつけが起こると脳障害を残す可能性がある
例えば、大きくなってからてんかんになったり、行動異常、学習困難児になったりすることがある

もし熱が出てひきつけを起こした時は、指圧法によって比較的速やかにひきつけが治まる
指圧法

親指と人差し指の付け根の凹み(合谷)を、ぎゅっと上下から押さえる(両手とも)
ひきつけが治まるまで押さえる
ひきつけが治まったら、手の指、足の指をひっぱる

ひきつけが起こった時、よく舌を噛むと思って口に何か噛ませたりするが、滅多に舌を噛むことはないので、無理に物を口に押し込んだりしなくてもいい
むしろ、顔を横に向けてやること、ボタンをはずして衣服を緩めてやり、呼吸しているかどうか観察することが大切である

極まれに、舌根(舌の根っこ)が奥に沈下(舌根沈下)して気管を塞いでしまうことがあるが、そのような時は呼吸ができすに顔面蒼白になるので、速やかに舌の真中をもって引っ張り出す
すぐに息を吹き返して呼吸をしだす

熱性痙攣は、1〜2才が一番起こりやすく、5分以内のが1度(1回に)だけであれば心配はない
ひきつけを起こした後は、脳の酸素消費が増大しぐっすり眠ってしまうので、ゆっくり寝かせて解熱剤を飲ませる

もし短期間のうちにもう1度ひきつけを起こすことがあれば、お医者さんで診てもらう必要がある
ひきつけの時間が長かったり、回数が多い時は脳波をとって調べるので、その旨をきちんと医師に伝える必要がある

4.糞便熱(ふんべんねつ)
便通がないと、すぐ発熱を糞便熱と考え、浣腸すると考えがちだが、便秘で発熱することはない

5.子どもが発熱した時の注意
・着ているものを身軽にする
 つい暖かくしようと思いがちですが、寒くない程度に環境を少し涼しくしてあげましょう
 寒気がある時は熱の出始めです
 手足が暖かくなるまで保温しましょう

・頭を冷やす
 水または氷枕を用いて優しく冷やし、気持ちよくしてあげましょう
 嫌がる時は無理をしません
 
・水分を十分に取らせる
 熱があると汗をかき、体から水分が失われます

・消化の良い食事の工夫
 食欲の落ちることが多いので、欲しがるものを中心に食べやすい形に調理しましょう
 母乳は欲しがるだけ、ミルクは少し薄めましょう

・汗をかいたら、直ぐに拭いてあげましょう
 汗による汚れは皮膚のトラブルの元になります
 暖かいタオルで拭いて、肌着はこまめに取り替えましょう

・安静を保ち、静かに過ごさせましょう
 少し良くなると動き出したり遊びだしたりしますが、できるだけ安静を保った方が病気の治りは早
 いものです
 そんな時は、仕事の手を休めて傍にいてあげましょう

・環境を整えましょう
 室温は、日中18〜22度(20度)、夜間15度前後
 冬の発熱は風邪を伴うものが多いので、湿度を高くする工夫も大切です

6.熱さましについて
・乳幼児は38.5度以上、学童は38度以上を目途とする
 一度、痙攣を起こしたことのある子どもも、38度を目途とする
・38度台でも元気にしているのなら、少し様子をみても大丈夫
・5〜6時間以上経っていたら、また使ってもいい
・1日に3〜4回までが目安
・子どもの年齢や体重に合わせて正しく使う
・座薬も飲み薬も効き目は同じ
・吐く子どもには座薬を、下痢の時や座薬を嫌う子どもには飲み薬を使う
 同時に使ってはいけない
・ぬるま湯で体を拭いてやるSponging法も効果的である
・熱さましは、熱によるつらさを軽くするための薬であり、解熱=治癒ではない

7.解熱後の入浴の目安
・原因にもよるが、上気道炎(咽喉頭炎、扁桃炎、感冒など)の場合は状態がよければ、24時間た
 てばよい

・熱がなくても、食欲がなく元気がない時、下痢や嘔吐をして活気がない時は入らないようにする

8.熱が出る主な病気と特徴
熱が出る病気 特                     徴
かぜ症候群 発熱の原因のほとんど
咳・鼻水・腹痛・下痢・嘔吐と症状は多様
突発性発疹 赤ちゃんが初めて原因不明の熱を出す
発熱が3日程続き熱が下がるのと同時に発疹が出る
中耳炎 耳だれがあったり、痛がって泣く
膀胱炎・腎盂炎 高熱が続いた後も微熱が続く
食欲不振・下痢・嘔吐・不機嫌になる
その他 伝染病の病気・日射病・薬物アレルギーによるもの・暖めすぎなど数多くの病気がある
また、生活の不規則やはしゃぎすぎ、緊張感など病気以外の心や体の疲れを発熱という症状で表現してきたりもする

9.発熱に伴った主な症状と場所
*よく観察する
頭・顔  ⇒ 耳痛・鼻水・鼻づまり・口唇乾燥・痙攣・頭痛・ボーっとしている
呼吸器 ⇒ 咳・ゼイゼイする・呼吸困難
胸    ⇒ 胸痛・胸が苦しい・
お腹   ⇒ 吐く・下痢・便秘
皮膚   ⇒ 発疹・かさつき・たるみ
全身   ⇒ 脱水・むくみ・黄疸
その他 ⇒ 機嫌の良し悪し・活気のあるなし・食欲のあるなし・顔つき・目つき・表情


≪下痢≫
1.乳幼児の下痢の原因
乳児期や幼児期、特に乳児期では消化管の局所防御機構(腸の抵抗力)が十分発達していないため、いろいろな原因によって下痢が起こりやすい
腸のウイルス感染・・・大半がロタウイルスによる(冬季に多い)
・腸の細菌感染・・・カンピロバクター、サルモネラ、大腸菌などによる(夏場に多い)
・養護の過誤・・・寝冷え、高温高湿、低栄養、過度の疲労、非衛生的な養護など
・先天性異常・体質・・・消化管の奇形、先天性の酵素欠損症(乳糖不耐症など)、免疫の異常など
・食餌の誤飲・・・過食、冷たい飲料の飲みすぎ、汚染された食物の摂取など

2.ロタウィルス感染による下痢(冬季下痢症)の主な症状
@下痢・・・白色〜灰黄色の水様便(1日数回〜十数回)
A嘔吐・・・病初期の1〜2日目までに発症することが多く、しばしば下痢に先行
 *脱水症状(下痢・嘔吐が激しい場合には唇が乾き尿が少なくなる)に注意
B発熱、上気道症状(咳・鼻水)を伴うことも少なくない

3.下痢をそのままにしてはいけないわけ
激しい下痢をしたり幾日も下痢が続くと、体の中からたくさんの水分が失われ、栄養分の吸収も障害されるため、脱水や栄養障害などがおきる
特に乳幼児では、大人に比べて下痢や嘔吐による脱水を起こしやすいため、重症化する懼れがある
そのため、早期に脱水症に対する処置と下痢の治療を行うことが重要となる

4.下痢の時の食べ物・飲み物
母乳栄養児 母乳は続けて飲ませる
人工栄養児 人工乳は半分に薄めて飲ませた方がよく、その後回復すれば2〜3日で元の濃さに戻して飲ませる
離乳期乳児・幼児 下痢が軽い時はお米の重湯、お粥、あるいは柔らかく煮たうどんを食べさせる
下痢の激しい時は水分たっぷりの重湯を薄塩味にして与えるとよい
水分の補給が最も大切である
下痢の回復に合わせて順次、お粥、病前の食事に戻していく



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