| 第58回 北海道社会科教育研究大会札幌大会 公民的分野部会 宮の森中学校3年生 『地方政治と自治』の授業に参加して |
◆授業の中で子どもたちにお話したこと 皆さん、こんにちは。子育て支援ワーカーズかざぐるまの山田です。 私は、かざぐるまに入って12年目になります。 高3と中3の子どもがいますので、多分年齢は皆さんのお母さんと同じくらいです。 手記のお母さんが最初にかざぐるまに電話をくれた時、このお母さんは電話口で泣いていました。 子育てがたいへん、2才と0才の子どもが片時も離れず何もできない、どうしたらいいのでしょう?というものでした。まずは話を聞き、お伺いする日程を決めて電話を切りました。 心配しながら伺ってみると、そのお母さんは明るく元気な普通の人で、地域の中に友だちもいるし、夫も協力的で、実家の親も働いていますが近くにいます。 特別の人でなく、普通の人でも誰でも、子育ては思い通りに行かず、悶々とするものです。 だからこそ手助けが必要なのだと私は考えます。 悶々の「悶」という字は門の中に心が閉ざされ、行き場がなく、もがいているのを表しているそうです。 私たちは、手記のお母さんのお家に定期的に出向いて、持参したおもちゃを使って子どもたちの遊び相手になったり、お母さんの話し相手になったりしました。 子どもたちが成長するに従い、お母さんも心に余裕が生まれて、今では実家の仕事を週1回ですが長時間手伝いにいくようになり、私たちは子どもたちの保育に伺っています。 お弁当を持って円山公園や知事公館に行って楽しく過ごし、お母さんが帰ってきたらその報告をしています。 かざぐるまのパンフレットを見ながら、お話を聞いてください。 子育て支援ワーカーズかざぐるまは、非営利の市民事業として子育て家庭の支援をしている団体です。地域の中で生活をしていて、こんなサービスがあったらいいなと思ったことを、自分達で事業化して働いています。 ボランティアではなく、働いた分の対価はいただく「仕事」として、子育て支援を行っています。 私たちは皆幼稚園教諭や保育園の保育士だったので、自分の子育ての経験と両方の経験を活かして、専門的なプロのサポートを目指して活動しています。 かざぐるまができたのは、1986年、皆さんが生まれる2年前です。 最初は女性の社会進出を支えるという目的で、子どもの楽しい遊び相手をすればよかったのですが、ここ4〜5年で依頼内容が多様化し、中でも子育てに不安や負担感を感じている人からのサポートの依頼が増えてきました。 私たちは、自分たちに何ができるのか、真剣に考え悩み、たくさん勉強をしました。 そして、子どもの豊かな育ちを守るためには、子育て家庭そのものを支えることが必要ということに気付き、親が親として自ら育っていけるようなサポートを心がけるようになりました。 アフリカに「子どもを育てるには村中の人が必要」という古い諺があり、人類の長い歴史の中ではどこの国でもそういう考えがベースになって、子育ては母親だけの仕事でなく、父親との共同作業、さらに地域の中で多くの人が支えあってするべきものだと言われています。 社会状況や子育て環境の変化については、皆さんも勉強したようですが、地域のつながりが希薄になったため、気軽に相談できる人がいなくて悩みながら密室で育児をしている人、子どもに触れる機会のないまま親になり、初めて抱く赤ちゃんが自分の子どもという人、子育ての知恵や情報を知らないために、子どもとどう向き合えばいいのかわからない人、今まで自分の思い通りに生きてきて、初めて思い通りにならない、理解できない存在が赤ちゃんという人、ウソのような本当の話ですが、紙おむつの宣伝を見て、自分の赤ちゃんのおしっこが青くない!と心配して相談に来た人もいるというのが現実です。 子育てはつらいことばかりでなく、楽しいことや喜びもたくさんあります。 親は人が生まれて成長していくところを一番身近で観察させてもらえる存在で、子どもの成長の瞬間ごとに、楽しいことばや愛らしい表情などたくさんの宝物をプレゼントしてもらえます。 私たちは親たちの子育てのつらさを受容し共感しながらも子育ての喜びや楽しさも伝え、子育てのヒントになるような有用な情報も提供するように心がけています。 地域に居場所があり元気に活動している親子には、かざぐるまの子育て支援はあまり必要ないかもしれません。 でも、転勤してきて地域とのつながりを持てない人や、人と付き合うことが苦手な人など、私たちのような存在が必要な人も実際に多くいます。 私たちの役割は「子どもと親のつなぎ役」であり、「地域と親のつなぎ役」だと自覚しています。 親たちが地域の中に安心できる居場所や子育て仲間を見つけるまで、困った時には直ぐ対応できる、その家庭の子育て応援団でいたいと思っています。 皆さんは「子育てしやすい札幌」とは、具体的にどんな街を想像しますか? 本当に「子育てしやすい社会」を作っていくためには、労働の問題、男女共同参画社会の問題、人々の意識の問題など、たくさんの問題が関係しているので、それぞれの分野でも真剣に考えて変わっていかないと、少子化をくい止めることはできないでしょう。 でも、市民ひとり一人が問題意識を持ち、どんな社会を作りたいかの具体的なイメージを持って日々暮らしていくこと、そして皆ができるところから一歩ずつ踏み出していくことが大切だと思われます。地域の中にいろいろな種類のサービスがあって、それを必要とする人が自分のニーズに合わせて選ぶことができるようなしくみを作っていけたらとすばらしいと思います。 私は人に必要とされること、人の役にたつことに、大きな喜びや生きがいを感じて、この活動を続けています。かざぐるまでの活動を通して、自分自身も少しずつ成長させてもらっていると実感します。これからもさらに専門性を身に付けて、質の高いサービスを提供できるように、皆でがんばっていきたいと思っています。 さて、皆さんは「何を」「どう」始めますか? 今回皆さんの授業に参加させていただいたことをとても光栄に感じ、感謝しています。 どうもありがとうございました。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ ◆HPのスタッフ紹介のページより〜11月のメッセージ スタッフ紹介の10月のメッセージでお伝えした・・・かざぐるまのHPが縁となって、10月に開催された「第58回 北海道社会科教育研究大会札幌大会 公民的分野部会」の中学校3年『地方政治と自治』という授業づくりに関わらせていただいた・・・という一件の報告をします。 私が参加した授業は地方自治7時間の授業の6時間目で、研究会本番の授業だけでなく、3年生全部の3クラスの授業の中でお話をさせていただきました。 どのクラスの子どもたちも、自分の親への聞き取りや私の話など一連の授業を通して、「子育ては楽しいこともあるけれど誰にとっても荷の重いことで、周りの人々の支えあいがなくては成り立たない」ということを真摯に受け止めていました。 さらに、子育てしやすい地域や社会のあり方にもちゃんと目を向け、自分だったら何ができるだろうか?と真剣に考えていた姿がとても印象的でした。 子どもの心って、何て柔らかいのでしょう! 本番の授業の1番最後に、「僕は一生楽に生きていこうと思ったけど、今日の授業でひとり一人がちゃんと考えて社会を支えていかないとならないということがわかりました。」という男子生徒の感想や、「親に感謝したいと思います。」という女子生徒の感想を聞いて、担任の先生は感動のあまり授業終了後に涙しておられました。 まさしく『生きた授業』だったのだと思います。 私も一緒に関わらせていただいた幸せを感じ、もらい泣きしてしまいました。 宮の森中学校のこの100人の生徒の思いが将来どう花開き、実を結んでいくのか、とても楽しみに思うと同時に、今回のような種まき?(現場からの発信)はいろいろなところで必要なのでは・・・と改めて感じました。 「次世代を担う子どもたちが健やかに育っていける社会」「子育ち・子育てしやすい社会」「社会的な弱者と呼ばれる人たちが暮らしやすい社会」こそ、「全ての人が心豊かに暮らせる社会」へつながっていくのではないかということを、社会の先生たちの授業検討会の中でもお話させていただき、今回の私の役目は終わりました。 by 山田 智子 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ スタッフ紹介のページで,やまださんが書かれていますが,研究授業でかざぐるまさんにお世話になりました,札幌市立宮の森中学校の高橋です。 私は札幌市社会科教育連盟という教師の研究団体に所属し,10月に中学校3年生の公民分野で『地方自治』の単元で研究授業を行った者です。 この授業は『札幌市の子育て』を切り口にしてこれからの地方自治について考えることを目的に行いました。 札幌市の財政,札幌市の少子化とその背景,そして子育ての負担感に苦しむ母親たちの現実を知り,『子育てしやすい札幌』を考えることを通して,これからの地方自治のあり方(パートナーシップや市民自治)や地域住民としての地方自治へのかかわり方について考えるというものでした。 ただ,今の中学校3年生には,赤ちゃんのいる家庭や兄弟の多い家庭は別にして,子育てはあまり身近ではありません。 そこで,自分の親や親戚などから子育ての話をモニターしてきたり,かざぐるまさんの利用者の声を見せて頂いたり,やまださんから直接お話を聞くことによって『子育てしやすい札幌』を考えてきたのです。 私も実は2児の父親です。2歳と6ヶ月の娘がいます。 教師の立場で子供たちに教える立場ではありますが,今回の授業づくりやかざぐるまさんとの出会いを通して,自分の生き方や今の社会のあり方について,生徒以上に多くのことを学ぶことができました。 また,子育てや今の社会の問題点について,妻と話し合うこともできました。 私の願いや思いについては,生徒たちが本当によく理解し,学んでくれたと思います。 かざぐるまの掲示板で,このように硬い文章になって申し訳ないのですが,今回かざぐるまさんにご協力頂いた授業の報告をさせて頂きました。 以下の文章は,授業の後,生徒たちが書いたものです。 この子達が子育て世代になった時に,今よりももっと住みよい札幌(社会)になりますように。人任せや行政任せではなく,みんなが生きがいを持つことができ,かかわり合いを持つことで,幸せを感じることができるように。 生徒たちの思いを我々大人が実践できればと思います。 『子育てしやすい札幌』ってどんな社会なのだろうか?◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ ◆実際は全然ちがうところもあるけど,地域の人同士が仲良く子どもを頼める,優しい人達がいれば子育てしやすい社会になると思う。 ◆企業とか行政とか色々あったけど,子育てしやすい札幌にするには,人と人との助け合いが必要だと思った。「かざぐるま」などができ,母親の負担もどんどん減ってくると思う。もっともっと人と人が助け合えば,子育てしやすくなるだろう。 ◆周りの目が温かい社会(近所とのつきあいがある)。雨の日でも助けに行ったり来たりする社会。安心できる安全な社会。 ◆近所の人や隣人に気軽に相談できたら,一人で悩まずに楽しく子育てができると思った。人間関係がすごく難しいから,挨拶が大事だと思う。 『子育てしやすい札幌』をつくるために, 自分は将来,どうかかわっていけばいいのだろうか?◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ ◆仕事で忙しくあまり協力できないかもしれないが,公園などの施設で自分の子どもを遊ばせる時は,次の人のことを考えて遊具を使うなど、最低限のマナーは守りたい。子育てしやすい札幌(もしかしたら住んでいないかもしれないが)を完成させるためにも,自分は今まで築かれたその社会を守り,そして壊さないようにしたい。 ◆近所での仲をもっと深めていきたい。赤ちゃんを預けられるような信頼できる隣人になりたい。(朝,ゴミ捨ての時,おしゃべりしてどんどん仲が深まっていくような・・・。赤ちゃんがいる人の話や悩みを聞いたりするだけでも,育児のストレスとかが少しでも解消すると思う。) ◆母親に子育てを教えたり,かざぐるまさんのようなことをすればよいと思いますが,自分はそれができるという自信がないので,自分でもできるようなこと,例えば,公園を残したり,増やしたりする運動をするなどのことをしていきたいです。 ◆他人と気軽に話したり,自分から率先して物事を始める人になればいい。例えば,地域活動にしてもボランティアにしても,自分が物事の中心になる,それが大切だと思う。そうすれば,みんなもついて来てくれるだろう。 ◆企業としては,自分が仕事をするようになり,周りの人が子育てを始めたら,その人たちが子どもと一緒にいれる時間をつくれるように,仕事を手伝ったりフォローしたりしていきたい。地域としては,近所の人の交流や町内会の催し物に参加して,周りの人の子育てに参加していきたい。逆に自分が子育てをする時に手伝って欲しいから,そういう雰囲気の地域にできるようにしたい。 ◆第一に挨拶することだと思う。朝,「おはようございます」とか,「いい天気ですね」とか言うだけで,だいぶ違うと思う。アメリカだったら,ハロウィンやクリスマスの時,近所づきあいが深まったり交流があったりする。 ◆私はマンションに住んでいるんだけど,マンションの人に会ったら,必ず挨拶とかするようにしている。そんな些細なことを大切にしていきたい。子育てしやすい札幌・・・今だって十分だと思うけど,それよりも親になるという責任。そういうのを教育っていうか,教えていったほうがいいと思う。生んだら育てる。今の人は,当たり前のことができない人が多い。こんな社会を変えていきたい。 ◆自分からボランティア活動に参加したり,子どもにはちゃんとしたマナーを教えてあげれるよう,自分自身,日々のマナーのとれた生活を送る。 ◆地域の人や近所の人と積極的に交流する。男だからと言って,家事や子育てをほったらかしにしないようにする。 ◆困っている人がいたら,できる限りのことをしてあげられるように変わっていけたら,そう思います。 by 高橋 吾一 2003/11/12(Wed) ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 高橋先生、宮の森中学校の3年生の皆さん、その後お元気ですか? この度は、かざぐるまの掲示板へようこそ!発信してくださって光栄です。 先日私が授業を通して感じた“生徒の皆さんの柔らかい感性”をこのHPをご覧いただいている多くの方にも共有していただくことができ、うれしく思います。 私自身も、私たち大人には大切なことを次の世代にきちんと伝えていく使命がある、受け継いでもらえるように伝える側も工夫や努力や情熱が必要である、真剣に向き合えば子どもたちは柔らかい心で真っ直ぐに受け止め響いてくれる・・・ということを、生徒の皆さんと高橋先生や公民部会の先生方から大いに学ばせていただきました。 今回の一連の授業に関わらせていただいたことを、とても幸せに感じています。 『子育てしやすい札幌』はじめ、『未来』は皆で創っていくものですよね。 ひとり一人が『社会』のあり方に関心を持ち、自分のできることから一歩ずつ活動を広げていったら、『子どもも大人もすべての人が生き生きと心豊かに暮らせる街(社会)』に確実につながっていくことでしょうね。 皆さんはどうお考えになりますか? よかったら感想をお寄せください! by 山田 智子 2003/11/13(Thu) ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 宮の森中学校卒業の母です。 私自身もそうでしたが、中学生が子育てと関わる機会ってあまりないですよね。 なので、高橋先生の授業うれしく思いました。 うちの子供達は保育園に通っているのですが、先日、中学生のお兄ちゃんお姉ちゃんが園に遊びに来てくれたそうです。 そんな校外学習ももっと増えてくれればいいなーと思っています。 by miya 2003/11/14(Fri) ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ ようこそ、miyaさん。 私も中3の子どもの母ですが、中学生が実社会に向き合ったり、体験したりするような機会は本当に必要と思います。 いづれ親になる者としても、職業を持つ者としても、保育園での実習(中学生は校外学習?)は、いい体験ですね。 遊んでもらった保育園児も、自分たちと年が近くて気心が知れ、きっと楽しかったことでしょう。 子育て家庭支援の先進国であるカナダでは、子どもは12歳までは法律で守られ庇護の対象なのですが、13歳以上になるとベビーシッターの認定制度があり、責任ある行動のできる大人に成長していく一過程として位置づけられているそうです。 認定書を手に入れるため、また地域の人に一人前と認められるために、しっかりとした自分を築く努力し、生活態度や身だしなみにも気を配るのだそうです。 また、カナダでは社会全体で、「大人が乳幼児を預けて時たま外出することは当然の楽しみ方である」ことが当たり前の こととして捉えられているようです。 それに加え、中高生が男女問わずベビーシッターを経験することで自然と母性・父性を育むのに役立ち、子どもはかわい い、でも何時間も相手をするのはしんどい・・・などと子どもへの理解も深まり、子どもに優しい育児力の高い社会を築く土台となっているのだそうです。 たくさんのヒントが隠されているように思いますが、日本の社会に活かせることとしたら・・・? 追伸ですが、宮の森中学校の3年生は、どのクラスも落ち着いて活気もあってとてもいい雰囲気でしたよ! by 山田 智子 2003/11/15(Sat) |
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